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PTAでのICT活用は本当に必要なのか?

近年のPTA活動において話題の1つとしてよく挙がるのが、「PTAでのICT活用」です。
数年前から企業がビッグデータなどのデータとAIIoTなどのデジタル技術を活用し、業務改善や製品サービス向上などを図る「DX化」が取り沙汰されるようになり、その波はPTAにも及んでいるように感じます。

それが「ICT活用」「ICT化」です。

ICTの詳細は後述しますが、PTAでのICT活用を簡単に言うと、「とにかくPTA活動にデジタルを取り込んで効率化していこう」という動きです。
自治体によって進度は違いますが、子供たちの授業にタブレットが導入されたりと、デジタル化した授業も促進され、その影響もあるのではないかと思います。

しかしながら、個人的にはこのPTAでのICT活用は本当に必要なのか甚だ疑問です。

それはPTA独特の体質にも理由があると私は考えていますが、各地域の上部団体および単PによってもICT化を推進するか否かは異なるとも思っています。

今回はそんなPTAにも話題になっているICT活用の必要性について書こうと思います。

そしていつも重ねて申し上げますが、これはあくまで私見個人的見解です。笑
エビデンスなしの独自見解も含まれていると思ってご容赦ください・・・。

そもそもPTAにおけるICT活用って?

PTAに限らず、ICTの定義は結構広いと思います。
デジタル技術導入すれば「ICT化した」と言えますし、個人的には定義はありますが大枠の物だと思います。

その上でPTAにおけるICT活用というと、以下のようなケースが挙げられると思います。

  • PTA会議室にWi-Fiルーターの設置
  • PTA間での連絡ツールとしてGoogle WorkspaceやLINE WORKS、Slack、ZOOMなどのオンラインツール、コミュニケーションツール、グループウェアの導入
  • PTAホームページの開設
  • PTA専用のタブレット端末導入
などなど、インフラ整備からツール導入までハード・ソフト関わらずデジタルなものを取り込むことICT活用ICT化と呼んでいます。

ですので各上部団体や単Pで、何を導入した方がいいか導入後はどうやって運用していくかなどの利用目的オペレーションには必ず差異があるのではないでしょうか。

困っている事、効率化したい事に対してICTを入れ込んでいくわけですから、同じICT活用の推進といえども、実施先で独自性が増していくのは自然であると考えます。

PTAでのICT活用は本当に必要?

そこで思うのが、「PTAでのICT活用は本当に必要なのか?」ということです。

私としては、「PTAでのICT活用は場合によっては必要だが、統一して完全導入する必要はない」という見解です。
その理由はいくつかありますが、失敗例を見ているからという面もあります。

1.会員全員のITリテラシー
私が思うICT導入の最大の問題点が、属する会員全員のITリテラシーです。
往々にしてPTAに限らず世間一般として、ITに関して得意な人もいれば不得意な人もいるのは当然なことです。
そんな中で最新鋭の技術を導入して、全員が使いこなせるのかという問題に直面します。
ビジネスであれば不得意な人でも「仕事なんだから慣れろ」となるケースがほとんどだと思いますが、PTAはビジネスではありません。
ICT導入の話を率先するのは基本的に詳しい人が音頭を取るので、どうしても導入を提言した人たちのITリテラシーで決定していくことが多く、特にPTAは本部役員で決定することが多いので、そのメンバーのリテラシー会員全体のリテラシーイコールではないことを踏まえて決定していかないと、非常に危険な場合も出てくると思います。

以前、ITに携わる方がICT推進を提言し、連絡や書類などのデータ格納場所として中心にクラウド型WEBデータベースを構築して、そこを軸としてコミュニケーションツールやグループウェアを導入して連携し、本部や部門ごとの連絡や報告、活動履歴の記録などを全てデジタルでできる完璧に近いデジタルシステムを構築して導入したPTAさんがあったのですが、全く利用されていませんでした。

費用自体はそこまでかかっていなかった構築でしたが、結局はLINEのグループでやりとりという今まで利用されていたツールでの運用となる顛末です。

この原因は、シンプルに高度なシステムを導入し過ぎだったと思います。
構築した内容はもはやIT系の会社のような組み方で、実際ICT推進を提言した方がIT系だったので、ご自身のリテラシーをそのままPTAに写し込んでしまったと思われました。

ITに弱いことが悪いのではなく、使えるICTを導入しなかったことが悪いと私は思います。

提言した方の権限が強過ぎた組織的な問題もあるかとは思いますが、何より会員全員の事を考えずに整備してしまった点が良くなかったのではないでしょうか?

確かに使いこなせば業務の効率化にもなりますし、ペーパーレス半永久的に活動の記録が自動でアーカイブ化されるシステムでしたが、使わなければ意味がありません。

ICTを推進する際には、自分の組織が平均としてどれくらいのITリテラシーなのかを考えて、導入レベルを推し量るべきだと思います。
それでなければ必要なくなってしまう可能性は高いです。
2.運用のコスト
上述の例では費用面ではほとんどかかっていなかったのですが、それでもICT化を進める際には少なからず費用や人的なコストがかかります。
その様々なコストを恒常的に賄えるかという部分も重要です。

当然といえば当然ですが、費用が掛かる有料のサービスを導入すれば無料のツールを駆使するより遥かに手間なく楽で便利ではあります。
ただし、その分月額や年額など、定期的に支払わなければならない費用は発生するのは当然です。

昨今は、少子化に伴い学校全体の児童数や生徒数が減少しているところが多いと思います。
そうであれば必然的に単年度で集まるPTA会費も少ないです。
もしくはこれから減少傾向が予想される学校もあるのではないでしょうか。

「ICT活用を考えても費用がないから導入できない・・・」というケースも多々見られますが、有料だとしても本当に必要なのかどうかを考える必要がありますし、無料でもカバーできることはあります。

お金をかければそれなりに充足するシステムが構築できると思いますが、特に児童数・生徒数が減少傾向にあるPTAでは、先々の事を考えて導入検討をするべきです。

ICT導入を行い運用を始めて浸透してしまえば、なかなか取り止めることは難しくなります。

コスト面でも先々の事を考えて導入するべきだと思います。
3.導入後の継続性
ITリテラシーの問題コスト面を総じて考えると、ICT導入後の継続性はかなり考えるべきだと思います。

  • 今の本部役員だったら運用できるシステム
  • 今の予算だから運用できる費用

様々な側面から、ある程度継続して運用できるかは想定しておかないといけないポイントだと思います。

もちろん時代によって移り変わる物事はありますので、継続性の高いICTだとしても定期的な見直しは必要です。
これはICTに限らずPTAで行う事業全てそうだと思いますが、往々にしてPTAは「今までやってきたことを極力変わらず続けていく」という力学が働きやすいです。

それが功を奏することもあるかもしれませんが、私はそれがPTA存続危機に陥ることもあると思っている派なので、継続と見直しは常にセットで毎年度ある程度見ていくべきだと思います。

ICT導入を進めればいいってもんじゃない。

あくまで私見ですが、それでも例えば近隣のPTAが推し進めていると聞いたからと言って、ICT導入をすればいいってもんじゃないと思います。

各学校によってPTA会員の前向き具合も違いますし、地域的なメリットデメリットも存在すると思うのですが、私は驚くほど単Pごとに独自性を持って一律でない運営をしないと存続できないと思えてなりません。
PTAに関してはガラパゴス化すべきだと個人的には思う訳です。

今まで携わってきた経験からしても、印刷物でもWebでも全く同じ仕様で導入して成立しそうなケースはありませんでした。

そういった点からも、何をどこまでICT化するかというのは、各会員の状態、問題点、改善点、理想面など、様々な面を考慮して実行すべきだと考えているので、「PTAでのICT活用は本当に必要なのか?」という提言を今回はしました。

実際、どのPTA組織もある程度のICT化は行うべきだとは思います。
ただしそこには、「導入して利用されるかどうか」という原理原則のもとに推し量るべきだという意見だということです。

連絡ツールに物足りなさを感じているのであれば、コミュニケーションツールやグループウェアを導入する。
ペーパーレスにして、書類データを格納する場所を設けたいのであれば、クラウドサービスを導入する。

そういった困っている面からのピンポイント導入でも私はいいと思います。

そこでもし複合的に問題があるのであれば複合的に解決できるツールを導入すればいいと思いますし、とにかく最初は事足りない所から始めてみる流れの方が会員全員の状態を鑑みながら推進していけるのではないでしょうか。

今回の私見はこんな感じです。笑
ご覧頂きありがとうございました。

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