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3.212025
PTAは「引き継ぎ」で衰退する?

決まっているか決まっていないかはさておき、年度の切り替えで行われるのは役員や部員、委員などのその年度担当したメンバーから新年度メンバーへの交代であり、そこで関わってくるのが「引き継ぎ」です。今までやってきたことを継続して、不備不足なく前年度までと遜色なく新年度も執り行えるようにと、多くのPTAではマニュアルや資料の作成に注力するかと思います。ですが、個人的にはこのPTAにおける「引き継ぎ」は、果たしてどの程度必要なのか?と常々思っています。
もちろん何も今までの情報なく新年度運営するというのは無茶無謀な話だとは思いますが、ほとんどのPTAで行われる「引き継ぎ」は過剰なまでの補完を厳守し、もはや引き継ぎの為にPTAをやっているのではと思ってしまうケースも見られます。それは専門委員会や専門部も同様で、前年度まで行っていたことを1つも漏らさず行わなければならないという風潮を感じたことがある方は少なくないと思うのですが、いかがでしょうか・・・?私はこの「引き継ぎ」も、PTA不要論や成り手不足、本部役員と一般会員の乖離などに繋がっている一端だと思っています。この持論も、単P各々によって引き継ぎ必要不必要の度合いはかなり異なると思ってはいますが、しかしどの単Pにおいても全てが全て漏れなく徹底的に引き継ぐ必要もないのではという考えです。
特に過剰な引き継ぎは、PTAの衰退に繋がるような懸念すら抱いています。
そこで今回は、PTAは「引き継ぎ」で衰退するという持論を申し述べたいと思います。
それと例によってそしていつも重ねて申し上げますが、これはあくまで私見で個人的見解です。笑
エビデンスなしの独自見解も含まれていると思ってご容赦ください・・・。

どうして「引き継ぎ」がPTAの衰退に繋がるのか?
引き継ぎの問題と言うのは、PTAに関わらずビジネスシーンでも起こり得る問題だとは思いますが、ことPTAに関しては前段として「任意団体」であることと、PTA活動は原則として「ボランティア」であるということを忘れてはいけないと私は思っています。
ビジネスはその名の通り仕事です。
担当者や業務が移り変わるのであれば、今までの内容を保持して向上を図れるよう、可能な限りの情報伝達を行うべきです。
それが今後の仕事に関するクオリティに繋がる部分もありますし、金銭が発生している以上、責任という意味でもするべき行動だと思います。
しかしPTAはどうでしょう。
役員を務めると報酬の発生するPTAというのはなかなかありませんし、あるとしても生活が保障されるまでの金額が発生することはないでしょう。
PTAの多くは無報酬、むしろ会費を払って活動するという、なかなか冷静に考えるとなかなかな話です・・・。
そういったPTA活動の中で求められるのは「責任感」だと私は思います。
誤解を恐れず申し上げますが、メリットがなくても、自分や家庭の時間を割いても、仕事を休んででも、それでもPTA活動に参加するという、「やらなければならない」と思ってもらう「責任感」がPTA活動時、特に役員になった際は多くのPで求められると思っています。
引き継ぎもその一環です。
「次へ繋げる」「次の人が困らないように」という思いを持って、今までやってきたことを実践し、それを伝える為に変わった部分も含めてマニュアルの書き直しや付け足し、資料の見直しや追加作成を行うという丁寧な作業が望まれ、それを完璧にこなすのなら、もはやプロフェッショナルな仕事と言ってもいいくらいの作業ではないでしょうか。
では、そこまで徹底的にやってくれる人はどれくらいいると思いますか?
答えは言うまでもないと思います。
むしろPTAに関わる機会が多い人ほど、遜色なくやらなければならない雰囲気に触れ、消極的な参加すら嫌になる保護者の方も少なくないのではないでしょうか。
そして、責任感なく消極的な参加すら初めからしない保護者さんもいらっしゃいます。(私はそういった保護者さんの存在は当たり前だと思っています。)
そうなれば、一生懸命参加した人の中にはバカらしくなる人もいますよね。
単Pによってもこの雰囲気は違うと思いますし、引き継ぎだけで衰退するわけではないのはもちろんですが、一端を担い、参加者や協力者を削り、結果的にPTAを衰退させる要因の1つにはなっていると思います。

「引き継ぎ」が起こす弊害
上述の通り、引き継ぎには結果的にですがPTAを衰退させる要因の1つにはなっていると私は思っています。
そういった「引き継ぎ」が起こす弊害を掘り下げてみると、なぜ衰退に繋がる可能性があると私が主張しているかもう少しクリアになると思います。
前例踏襲による硬直化
これをPTAあるあるの王道とも言えますが、引き継ぎを重視し過ぎてしまうと、「去年こうだったから」「今までのやり方だと」などと前例を意識しすぎて、新しいアイデアや効率化が生まれにくい傾向が出やすくなります。
その結果、手作業の書類管理や対面中心の会議など、時代に合わない慣習が続いてしまうという結果に陥りやすいです。
前々から訴えていますが、PTAの枠組みは祖父母や両親が健在で、所得も満足のいく額面、そして親のどちらかが家事専業の方働きをしている前提で設計されたルールや動きが多いです。
これは単Pだけでなく、各上部団体にもその傾向が残っていると私は思います。
現代の家庭は、その多くが逆です。
反対の方向を向いている方針でPTAを続けていては、それは衰退するに決まっています。
でも、多くの本部役員の方は、その乖離状況に気付きにくい恵まれた家庭環境であることが多いというのもいいような悪いようなの問題でもあると思っています。
引き継ぎの負担が大きい
前述の前例踏襲に繋がった話になりますが、多くのPTAでは昔から変わらない変えないやり方をしている為、何事でも手順が煩雑で書類やノウハウが属人的になりがちやすいという面もあります。
PTA活動に積極的な方の中には、結果的にその人だけしかやってくれないので歴任を受け続けたり、自分の色を出して本人以外知りえない状態にして満足感を得るような方も稀にですが存在し、これもまたPTA問題あるあるの1つではないでしょうか。
そうなると場合によっては引継ぎ内容にアレンジが入りまくって複雑化だけしているものになり、「この人しかできない!」「この人じゃないと分からない!」という内容に変容していき、属人化が進んでしまいます。
それでなくてもPTA活動の引き継ぎは膨大なことが多く、それを1年や2年という任期の中で覚えるわりには短期間で覚えなければならず、新役員がプレッシャーを感じることも。
マニュアルが不十分だったり引き継ぎが口頭のみだったりなどの問題があるとスムーズに活動できないですが、そもそも1つの仕事と言えるくらいボリュームが大きすぎるのに本当の仕事や家庭のこともしなくてはいけないという面が大問題だと思います。
役員の成り手不足が悪化
そして上述の出来事が繰り返されていくうちに、「引き継ぎが大変だから・・・」「慣習を変えられないから・・・」といったイメージが広まり、PTA役員を引き受ける人がより減ることになります。
PTAを経験すればするほど、大体の保護者さんは引いていくのではないでしょうか。
そして結局、毎年同じ人や特定の保護者が負担を背負うことになり、前例踏襲と属人化がより進んでいく負のスパイラルが安定的に完成されると私は思います。
今までの価値観を良しとする人からの反発
これは私も出くわしていることと言えるのですが、今までのやり方を変えようとすると、「今まではこうやってきたから」「伝統だから」「PTAとはこういうものだから」とPTAのOBやOG、そして負のスパイラルや今までの価値観を良しとする本部役員の方に反発されることがあります。
こういう時、何だかよく分からないけど反対されているという印象しかなく、本質的な反発理由に関して私は全く分かりませんでした。笑
憶測になりますが、「自分の作り上げてきた物を壊されたくない」という動機で反発してくる人がほとんどじゃないかと思います。
もちろんPTAのOBやOG、そして本部役員の中でも先進的な方もいらっしゃいますが、そういう方が多くいればもう少し世間のPTAに対するイメージもいいんじゃないかと・・・。
例えば、どの地域でも共働き世帯が増えているのに、平日日中に集まるのが当たり前といった傾向が残っているのも今までの価値観で動いていることの1つではないでしょうか。
PTAは先生方も会員である団体なので、学校との協議も考えれば平日日中になるのは仕方のないことだと思います。
ただその場に専門部員や専門委員などで、何も意見も発言もしない人まで無理矢理招集することはないと私は思ってしまいました。
これはどこまで適用させるかもありますが、デジタル化による効率化の遅れもそのパターンはあります。
ITを活用すれば楽になる業務も、「去年は紙だったから」という理由だけでデジタル化が進まないという話も最近はよく聞きます。
そういう頑なに変えなかった部分が参加者や協力者を削ってしまう部分はあると考えています。

「引き継ぎ」の本質
PTAだけではなく、引き継ぎは本来、次の世代がスムーズに活動できるようにするものです。
それが、「引き継ぎ」の本質じゃないでしょうか。
しかしながら「引き継ぎ」が形式化しすぎると新しい風を入れる妨げになったり、役員の負担を増やしたりする原因になります。
特に過剰な前例の重視、活動の属人化、非効率な慣習の継続などには気を付けなければなりません。

完璧な引き継ぎなんてない
最後にまた持論ですが、私は完璧な引き継ぎなんてないと思っています。
PTAだけじゃなく、学生の部活動でも、会社でも、自治会でも、政治でも、どんなコミュニティにおいても完璧な引き継ぎを続けているところなんてないんじゃないでしょうか。
引き継ぎを行う当事者が人である以上、何かのほころびは出ます。
ヒューマンエラーってやつです。
それを踏まえて引き継ぎは行うべきで、特にPTAは任意団体なんですから、骨太の部分だけ大切にして、それ以外の部分はその時のメンバーが効率のいい方法で実行するのがベストだと思います。
実際には色々な理由があってシンプルに実行することが出来ないPが多いと思いますが、そこも少しずつでも変える必要はあるんじゃないでしょうか。
自分が役員をやって思うことも色々ありますが、仕事として携わらせて頂いたPTAの中には先進的に変化し、会員も積極的に参加しているような団体もありました。
私自身も目からウロコのこともあり、参考にさせて頂くこともあります。
PTAはなんなのか。
その本質を見誤らなければ、少なくても衰退を食い止める手立てにはなると日々思っています。
必要な存在なら残る。
そう思います。